「フリーランス」と「個人事業主」は、ほぼ同じ意味 税務署にもヒアリング
「フリーランスと個人事業主の違いって何?」
「それぞれのメリット・デメリットは?」
と聞かれることが多いのですが、多くの人たちがかなり誤解しているようなので、できるだけ正確にお答えしたいと思います。
数カ所の税務署にもヒアリングして、「フリーランス」と「個人事業主」の違いについてまとめてみました。
「フリーランス」と「個人事業主」の違いとは?
結論から言うと、「フリーランス」と「個人事業主」は、ほぼ同じ意味です。
フリーランス
特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主である。
明鏡国語辞典から引用
つまり、「フリーランス」は「個人事業主」の一種というわけです。
では、「個人事業主」とは何でしょうか。
「個人事業主(あるいは個人事業者)」は、個人で事業を行っている人のことを指しており、「法人」と対になる概念です。
「税法上の区分の違い」という説明をネット上で多く見かけますが、フリーランスと区別するものではありません。
国税庁のホームページでは、事業者について「個人事業者」と「法人」と区別しています。
「フリーランス」と「個人事業主」は、同義語と言って差し支えないでしょう。
また、「自営業」という言葉もありますが、これは慣習的に商店や飲食店の経営者や、家族経営の小さな会社のことを指して使われています。
自営業という言葉には、個人事業主も含まれています。また、弁護士、税理士などの士業も自営業と言われています。
「個人事業主」「フリーランス」「自営業」と、似たような概念の言葉がたくさんあるため、戸惑う人も少なくないようです。
フリーランスも確定申告は必要
勘違いしている人もいるようですが、「フリーランス」も「個人事業主」も確定申告は必要です。
確定申告とは、1年間の所得(売上ー経費)を計算して、国に納める税金に関する報告をすることです。
「フリーランスだから確定申告しなくてもいいや」というわけにはいきません。
一定以上の所得がある場合は、確定申告は必須です。
確定申告を行わないとペナルティを科せられますので注意しましょう。
「フリーランス」と「個人事業主」のメリット・デメリットは?
結論から言うと、「フリーランス」のほうがデメリットが多いとか、「個人事業主」のほうが得ということはありません。
最初に説明した通り、「フリーランス」と「個人事業主」は、ほぼ同義語です。
「個人事業主は青色申告ができるから得」というわけでもありません。
フリーランスであろうがなかろうが、管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出して承認されれば誰でも青色申告をすることができます。
「青色申告」をすると、特別控除(65万円)というメリットがあります。
フリーランス、個人事業主という区別は関係ありません。
メモ
●青色申告
特別控除を受けられる
申請書を提出して承認を受ける必要がある
複式簿記の帳簿を作成する必要がある
●白色申告
届け出は不要
単式簿記
フリーランスでも開業届けを出したほうがいい?
「フリーランスだから開業届けを出さなくてもいい」と思っている人もいるようですが、新たなに事業を開始したときには、管轄の税務署に開業届を提出する必要があります。
個人事業をスタートする場合、開業届出の手続きが「所得税法第229条」で定められています。
義務ではありますが、届出を怠ったからといって罰則はありません。
開業届の提出が遅れても個人事業は行えますし、あとからでも受け付けてくれます。
税務署の見解もわりとゆるやかです。
開業届は提出して損はありません。
むしろ、提出していたほうが役立つことのほうが多いと思います。
たとえば・・・
●上限100万円の「持続化給付金」の申請など、行政関係の手続きの証明に必要
●屋号入りの銀行口座を開設する場合(銀行によって異なります)
また、確定申告の際に特別控除を受けられる「青色申告」の申請時に必要です。
(必要がないケースもありますので、管轄の税務署に確認してください)
開業届の提出の有無にかかわらず、個人事業主(フリーランスも)で一定以上の所得がある場合は確定申告は必要。怠ると罰則があります。
フリーランスと個人事業主に関するまとめ
●フリーランスと個人事業主は、ほぼ同じ意味
●どちらも確定申告は必要
●どちらも開業届を提出しておいたほうが、あとで役に立つことが多い
●どちらも「青色申告」できる
そもそも、「フリーランス」と「個人事業主」の違いを明確にすることにあまり意味がないような気もします。
個人事業主、フリーランス、自由業、自営業など、個人で仕事をする人の呼び方はさまざまですが、いずれにせよ開業届を提出することをお勧めします。
必要事項を書いて提出するだけです。拍子抜けするほど簡単な作業です。
また、少しだけ勉強が必要ですが、青色申告にも挑戦してみましょう。