取材時にボイスレコーダーで録音するのは、テープ起こしのためじゃない。
取材時には、メモとボイスレコーダー(ICレコーダー)は必携です。
しかし、ライティングの中心になるのはメモであり、録音した内容を聞き返すことは、ほとんどありません。
(手書きでメモする人が中心ですが、ノートPCやiPadなどのタブレットPCで、インタビューしながら入力する人も増えています)
ボイスレコーダーで録音したものを聞き返すことがあるのは、
・固有名詞、人名、書籍名、専門用語、数字、日付などの確認
・メモを取り忘れたところがある場合
・取材時から執筆まで時間があいてしまった場合
などです。
しかし、状況によっては録音したものを聞き返す必要もあります。
聞き返す必要がある場合は、
・講演会
・会議
・座談会
・対談
など、詳細なメモを取ることが難しいときです。
講演会の場合、講演者が一方的かつ連続してしゃべり続けます。
会議や座談会などで参加者が多い場合も、1対1の取材に比べ、詳細なメモをとるのが難しくなります。
対談は、著名人や専門家、経営者同士といったように、ある分野において精通している場合が多く、容赦なく専門用語が飛び交います。
このような場合には、録音データを聞き返すことが多いでしょう。
メモのコツ
会議・座談会は、顔、名前、発言を一致させて記録をとるのには慣れが必要です。
複数人から話を聞く場合は、相手の名前の頭文字とセットにしてメモしておくと良いでしょう。
加藤さん(K)、神田さん(K)など、イニシャルが同じ場合もあるため、加藤さんの場合は、KT、カトなど、自分なりに工夫してみましょう。
テープ起こしって?
ICレコーダーがなかった時代のボイスレコーダーは、ミニサイズのカセットテープをセットして録音する機械を使っていました。
今ではほとんど見かけることがなくなってしまいましたがら、長い時代使われていたこともあり、「テープ起こし」という言葉は、今でも使われています。
テープ起こしは、録音したものを文章化することです。
「文章起こし」「録音起こし」と言われることもあります。
それを専門に行っている会社や職業にしている人も存在しています。
会議や講演、座談会、社長の訓示などは、「書き起こし」が行われることが多いようです。
正確に記録しておく必要がある場合や、一度書き起こしたものを「要点だけまとめて記事にする」という使われ方が一般的です。
■ICレコーダーの選び方
ICレコーダーは、取材を目的にしたものを選ぶことが理想です。
多機能な機種よりも、機動力がよく、操作が簡単なものがいいでしょう。
「音楽プレーヤーとしても使いたい」
「せっかくならラジオも聞きたい」
「語学学習に活用したい」
などと欲が出てくることもありますが、ライターを職業にしている方は仕事専用に徹した方が無難です。
「逆に音楽プレーヤーで録音機能がついたものを取材に使ったら?」と考える方もいるようですが、これはお勧めしません。
音楽プレーヤーは再生がメインなので、録音に関する操作性が悪い場合があります。
これでは、いざ取材というときにもたついてしまったり、うっかり録音し損ねたりという事故も起こりえます。
「スイッチひとつで録音できる」
取材時の録音では、それくらいの操作性のものがよいでしょう。
もうひとつのポイントは、再生速度を変更できること。
PCに取り込んで速度調整が行える再生プレーヤーで聞き返す場合でも、本体に再生速度調整がついていると何かと便利です。
また、生成機能がついていると取材を終えてからすぐに聞き返すこともできます。
各社からさまざまなICレコーダーが発売されていますが、4,000〜5,000円台のものでも十分でしょう。