【取材・インタビュー】 取材の準備からライティングの前にすべきこと
取材・インタビューは、事前の打ち合わせ→下調べ→取材・インタビュー→ライティングという流れで進みます。
取材相手のことを事前に調べておくことは必要最低限、プロとしてのマナーです。
ビジネスの世界では「準備8割、実行2割」などと言われますが、ライターにおいても準備は欠かせません。
ここでは、企業の広報誌や広告宣伝物(カタログ・パンフレット・webサイトなど)に使用する記事という前提で解説していきます。
編集プロダクションや広告代理店・制作会社などから仕事を依頼されたという設定で説明します。
取材の目的の確認 〜実例解説〜
わかりやすいように、具体例を挙げて説明しましょう。
会社案内や企業サイトに掲載する社長のインタビュー記事という想定で説明します。
その企業の新サービスについての取材という設定にします。
こういった場合、仕事を依頼してくる担当者は、「企業の新サービスの取材を」と簡単に説明する傾向があります。
しかし、これは目的ではありませんので注意が必要です。
企業との間に入っているプロダクションや代理店の担当者が、クライアントの真意を理解してないということは多々あります。
取材対象や取材日時のみしか説明しない担当者もいますが、そのままにしては絶対にいけません。きちんと狙い・目的を確認しておきましょう。
では、このケースでの目的は何でしょうか。
今回の記事はその企業のwebサイトに掲載するもので、新サービスの宣伝が目的です。
自社webサイトに、社長インタービューを掲載し、新サービスについての詳細を知ってもらい、利用を促進することが狙いです。
新サービスにかける社長の思いや、新サービス開発のきっかけなどのエピソードを聞き出し、消費者の心情に訴える記事にするという企画です。
ただ単に、「新サービスを展開する企業の社長を取材する」だけでは、目的からそれた原稿を書いてしまうこともあるので、目的を明確にすることは非常に重要です。
ポイント
取材・インタビューの目的を明確にするには、
ライティングする記事の役割は何か?
をはっきりさせることです。
取材インタビュー前の事前調査
取材・インタビュー前に調べておきたい内容について解説します。
「新サービスをスタートする企業の社長にインタービューを行い、その記事を宣伝の目的で企業ホームページに掲載する」という前提です。
まずは企業のホームページに一通り目を通し、全体像を把握します。
会社概要などで会社の規模、事業領域を確認しておきましょう。
取扱製品・サービスも調べます。
また、その企業の強み・特徴もざっとつかんでおきましょう。
そして取材相手である社長のことを調べます。
企業ホームページにも「社長メッセージ」などが掲載されていますので、一読しておきます。
また、採用ページも参考になります。
多くの企業は、採用ページを独立させるような形で作っていることが多く、その中には、就活者向けの社長メッセージが掲載されている場合もあります。
会社の沿革や歴史、創業時の思い、その他社長の考え方を理解できるようなメッセージなどを拾えることも少なくありません。
その他には、他の媒体で社長が取材された記事などを探し、いくつか読んでおくといいでしょう。
大企業のトップクラスの方ほど、ライターをプロと見なします。
「インタビューをするのであれば、充分に下調べをしているはず」と考えている人が多いのです。
インタビュー時に素人が質問するようなことを聞いたりすると、
「なんだコイツは。こちらは忙しい時間を割いてインタビューに応じているのに、それくらいのことも調べていないのか!」
と、機嫌を損ねてしまうかもしれません。
基礎的なことも調べずに取材に臨んだせいで
「別のライターをよこせ!」
「取材をやり直せ」
と怒られてしまう新米ライターもいます。
取材相手のことを調べておくことは、プロとしての最低限のマナーでもありますし、調べておかないとインタビュー時に話が理解できない、質問が出てこないといったことにもなりかねません。
下調べは入念に行いましょう。
いざ、記事を書く段階になると、事前の下調べがいかに大切かに気づくことになるでしょう。
必ず取材相手のことは調べましょう。
ポイント
取材前に調べておくこと
・取材先の会社のホームページを見る
(会社の特長、社長メッセージ、取扱製品、採用ページetc)
※採用ページは、学生向けにわかりやすく会社のことを説明しているケースが多く、全体像を理解するのに役立ちます。
・その会社や社長、製品などについて検索して検索して調べる
・関連書籍を購入または図書館で借りて一読する
取材・インタビューの質問
取材・インタービューは質問が命です。そう言ってもいいくらい質問は大切です。
目的が明確になっており、下調べがきちんとできていれば、いくつかの質問は自然に出てきます。
逆に言うなら、質問が出てこない場合は、目的があいまいだったり、事前調査が甘いという可能性もありますので、目的を再確認しましょう。
今回の事例の場合、新サービスを展開する企業トップに取材し、新サービスの宣伝を目的とした記事を書きます。
では、どのような話を聞き出せば良いでしょうか。
ざっと思いつくだけでも、以下のようなことがあります。
・なぜ、そのサービスを展開していこうと考えたのか?
・どのような経緯でそのサービスを思いついたのか?
・その新サービスを展開することで、社会や消費者にもたらすことは何か?
・新サービスにかける思いは?
・どんな人たちに利用してもらいたいと考えているか?
・新サービスをつくる上で苦労したことはないか?
etc.
質問の仕方によっては、意図するような答えが得られないこともありますので、「別の聞き方」も用意しておくといいでしょう。
「新サービスの特徴は何ですか?」
という質問の仕方はプロとしてはあまりよくありません。
「このサービスは◯◯◯が特徴だと理解したのですが、他に特徴はありますか?」や、
「このサービスは◯◯◯が特徴だと言うことですが、もう少し具体的にご説明していだけますか?」などといった質問の仕方の方がいいでしょう。
新サービスの特徴は、事前に理解してインタビューに臨むのがプロとしての礼儀です。
また、この質問の仕方は、相手に「このライターは、ちゃんと勉強している」と思わせることができ、インタビューをスムーズにする効果もあります。
さらに具体的な質問づくりは、特別講義で説明しています。
ポイント
どんな記事を書くのかを事前に想定しておくと、自ずと質問は出来上がります。