取材・インタビューの質問の作り方
適切な質問をつくるには、企画意図を明確にすること。
取材・インタビューにおいての質問は、「どのような記事を書くのか?」という企画意図によって決まります。
極端な言い方をすると、企画内容が不明確だと質問のつくりようがありません。
たとえば、企業の社長に「最も感銘を受けた本」という記事を書くことになったとします。
これだけで質問をつくることも可能ですが、企画意図が不明瞭なので、
「その本を読もうと思ったきかっけは?」
「その本を読んだのは、いつ頃のことですか?」
「その本のどのあたりに感銘を受けましたか?」
といった「浅い質問」になってしまい、結果として浅い記事になってしまう恐れがあります。
取材・インタビュー記事で、良い文章を書くには、「適切な質問」を用意することは重要です。
適切な質問をつくるには、企画意図を明確にしてく必要があるのです。
この場合、「最も感銘を受けた本」という記事の企画意図は何か?を明らかにしなければなりません。
企画意図とは、「誰に」「何を」ということです。
たとえば、
「ビジネスをするにあたって企業トップが感銘を受けた本を紹介し、30代のビジネスパーソンに、仕事への取り組み姿勢の参考にしてもらう」
というようなことです。
企画意図が明確になると、
「この本を読んだことで、仕事に対する姿勢がどのように変わりましたか?」
「現代の30代にとって、この本が必要だと思う理由は何ですか?」
などと、質問内容がより『具体的』になるのです。
ここに注目!
企画意図を明確にしていくと、いくつかの疑問が浮かんできますので、それを質問にします。
事前に得た情報から聞きたいことをピックアップする。
取材・インタビューの前には、取材対象者のことを調べることはライターとしての基本です。前述の例の場合、取材対象者は企業の社長です。
過去の新聞や雑誌の記事、インターネットに掲載されている記事などで調べます。
どうしても自分で情報入手が困難な場合は、先方に「取材するにあたって参考になるような資料」をもらうようにお願いしてみましょう。
事前に入手した資料を読むと、「なぜ?」という疑問が浮かんでくることがあると思います。
取材時に、そのことを質問してみましょう。
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取材対象者についてのことを調べると、自然に聞きたいことが出てくるものです。
質問づくりの3つのポイント
- 「なぜ、そう考えたのか?」
- 「きっかけは何か?」
- 「どう思ったか?」
これは、質問をつくるときのポイントです。
「本を読んで───ということでしたが、なぜ、そう考えたのですか?」
「これまでにたくさんの本をお読みになったと思いますが、この本のどんなところが30代ビジネスパーソンの役に立つと思いましたか?」
「社長ご自身、この本をお読みになろうと思ったきっけは、どのような状況のときだったのですか?」
「本を読んだときに、まず最初にどう思いましたか?」
ここに注目!
「なぜ?」「きっかけは?」「どう思った?」という3つのポイントを意識すると、具体的な質問が出来上がります。
考えや気持ちを聞く
そのときの気持ちや感情を聞いておくと、深みのある文章を書くことができます。
「嬉しかった」「悔しかった」「悲しかった」などの感情です。
単に「嬉しかった」だけでなく、どれだけ嬉しかったとか、どんなふうに嬉しかったのかを具体的に聞き出せるといいでしょう。
たとえば、「飛び上がるほど嬉しかった」「思わず心の中でガッツポーズをしました!」などということです。
こういった気持ちを文書に盛り込めば、記事がリアルになり取材相手のことが浮きたちます。
簡単な質問は「そのとき、どう思いましたか?」です。
「嬉しかった」などという素っ気ない答えのときは、「飛び上がるほど?」「今までで一番?」などと尋ねてみるのもいいでしょう。
質問の仕方を変える
質問してもすぐに返事がなく、沈黙が流れることもあります。
沈黙は嫌なものですが、あわてずに待ちましょう。
相手が答えを考えているのかもしれませんし、質問を咀嚼しているのかもしれません。
質問を投げかけた場合は、ときには待つことも必要です。
しかし、あまり長い沈黙の場合は、質問の仕方が適切でなかったということもあり得ます。
あまりにも沈黙が長かったり、相手が答えにくそうにしている場合は、質問の仕方を変えてみましょう。
同じことを聞くにも、質問の仕方によっては答えやすくなることがあります。
例
「新事業は、いつ頃うまくいきそうだとお考えですか?」
↓
「新事業は、3年後くらいには軌道に乗りそうですか?」